青銅器の考古学

学生社 久野邦雄著

唐古・鍵遺跡より出土金属片(重量3.1g厚さ1.1〜2.2cm)
成分 銅52.67% 錫14.2% 鉛9.6%
他の非金属質を除く100%換算
成分 銅68.08% 錫18.38% 鉛18.38%

青銅器生産工房
東奈良遺跡
大阪府茨木市東奈良
沢良宜西
1974〜76
弥生時代
中期後半から
古墳時代
前期
銅鐸鋳型
・石製の片面のほぼ完成品1点(流水文)
・流水文を描いた破片十種
豊中市桜塚出土銅鐸および
香川県善通寺市我拝市山遺跡出土銅鐸
兵庫県豊岡市気比出土三号鐸
・袈裟襷文を描いたもの二種
・土製銅戈鋳型三片と鞴羽口片多数
唐古・鍵遺跡
奈良県田原本町
1977
弥生時代
中期末から後期前半
銅鐸鋳型
・石製銅鐸鋳型片(流水文)
・銅鐸鋳型外型?土製品約20片
・鞴羽口片20片
・鋳張り片1点
安永田遺跡
佐賀県鳥栖市安永田遺跡
1979
弥生時代
中期後半から末
銅鐸鋳型
・石製銅鐸鋳型片(横帯文)
・砥石
・石製銅矛鋳型片
・鞴羽口片
・3m×4.5m方形炉跡状遺構
鬼虎川遺跡
東大阪市鬼虎川遺跡
1980
弥生時代
中期前半から後半
銅鐸鋳型
・銅鐸鋳型3片(袈裟襷文)
・銅釧鋳型片
・異形青銅器鋳型
須玖永田遺跡
福岡県春日市須久永田遺跡
1985
弥生時代
終末期前後
・石製銅鏡鋳型片(小型内行花文鏡)
・銅矛の中子片12点
・銅鋤先の中子片
・取瓶片
・鞴羽口片
・銅塊2点を含む銅滓
下屋敷遺跡
福井県三国町下屋敷遺跡
1985 銅鐸鋳型
・銅鐸鋳型未完成品

青銅器の銅の分析例
伝羽曳山出土銅鐸 末永氏所蔵
近畿式大型銅鐸
1978年調査
銅鐸破損面の一部に
自然銅特有の連晶とともに
赤銅鉱粒が認められた。
このことから
原料には自然銅が使用され、
それに共生する赤銅鉱が
鋳造のさいに完全に溶けないで
残存したものと考えられる
長野県飯田市
座光寺新井原
9号墳出土銅鈴
古墳時代後期 赤銅鉱粒が認められた。
銅94.85%
鉛0.99%
錫0.015%
自然銅を原料として使用したと
考えられる。
愛知県朝日遺跡
出土銅滴
弥生時代前期から後期
集落遺跡
大きさ幅約5cmたて約3cm
重量4.66g
銅96.96%
鉛1.31%
錫0.01%
自然銅あるいは酸化銅鉱・炭酸銅鉱
のいずれかで硫化銅とは考えにくい

銅鐸鋳型から考える
京都府
鶏冠井遺跡
丹波産砂質粘板岩
石製鋳型の一部
砥石転用
推定16〜20cmの
小型銅鐸
菱環紐式あるいは
外縁付紐式
弥生中期前半
弥生土器
第二様式を中心とした
第三様式の土器が含まれる
河川跡
東大阪市
鬼虎川遺跡
銅鐸、銅釧、異形青銅器
の鋳型破片
推定外縁付紐式
袈裟襷文銅鐸
弥生土器
第二様式から
第四様式の時期の
貝層中
兵庫県
名古山遺跡
出土鋳型より
梅原末治氏
によって復元
小型扁平紐
四区袈裟襷文
弥生土器
第四様式住居跡
兵庫県
今宿丁田遺跡
銅鐸鋳型破片 四区画袈裟襷文
扁平紐式
弥生中期

弥生土器
第四様式
土器包含層中
大阪府茨木市
東奈良遺跡
銅鐸鋳型
流水文10種
袈裟襷文2種
土製銅戈鋳型片
外縁付紐式数点
流水文
・豊中市桜塚
・善通寺市我拝師山
の鋳型
・豊岡市気比三号鐸
の鋳型
弥生時代から
古墳時代の
初期の土器を
含む包含層
奈良県
田原本町
唐古・鍵遺跡
石製鋳型片
土製銅鐸鋳型外型?
弥生中期末から
後期初め
流水文石製鋳型片
大型の銅鐸か?
土製鋳型大小二種
無文で型式不明
弥生土器
第四様式から
第五様式に
限定される包含層

佐賀県
安永田遺跡
鋳型片五片
同一個体
綾杉文・複合鋸歯文
からなる横帯文
特殊な邪視文系
外縁付紐式
弥生
中期後半から末

福岡市
赤穂ノ浦遺跡
銅鐸鋳型片
1個
鋳型面は熱を
受けて黒変
斜格子文・
複合鋸歯文
横帯下部に
鹿・釣針状文様
弥生土器
中期後半から
後期の包含層

銅鐸の音響実験

○金属含有率から
錫の含有率の高いものは高い音
錫の含有率の低いものは梵鐘のような余韻の長い音色

○孔から
孔の無いものから順じ孔の数を増した場合の実験で
六個の孔と二個の切り欠き孔が余韻のあるもっともよい音色を発する